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05年7月24日
2人の間に言葉はいらなかった。1ボールからの2球目。118キロのカーブに思わず、ソフトバンク城島はこけそうになった。「それはないでしょう」とばかりに右手を振り、巨人工藤に直球勝負のサイン≠送る。3球目、143キロ。42歳のこん身の直球をとらえ、左翼席中段へ。昨夏に続く2年連続、通算3本目の球宴アーチを「師匠」から打った。
シーズン中は絶対にしないと決めているガッツポーズをあえてつくった。ホームベースを踏み、ヘルメットを脱いで一礼。史上最高齢登板の工藤と、最多得票の城島の「勝負」に拍手が沸き起こった。
城島 誘っておいて本塁打はないですね。せめて、ヒットにしないと。
工藤 打たなかったらインサイドに投げてやろうと思った。笑われると、真っ直ぐを投げたくなった。
「恩返し弾」だった。00年の日本シリーズ。初戦で城島は工藤から本塁打。巧みなバットコントロールで、低めのボール球をすくい上げた1発だった。だが今回は違う。「センターに打つと思った。うまいこと引っ張られた。交流戦でもブルブル振っていたので、ポップフライもあるかなと」。工藤もまな弟子の成長の跡を認めた一打だった。
ダイエー時代、城島が正捕手に座った97年から3年間バッテリーを組んだ。工藤の配球に応えられず、2時間近くも全投球の意図を言わされたこともある。工藤の愛のムチが捕手城島の基礎になっているのは間違いない。「あの年になって気力、体力がすごい」。チームは分かれても城島には師匠に変わりなかった。
5日にFA権を取得し、残留かメジャーかを表明している。城島にとって、今回が最後になる可能性も。だからこそ、右肩の治療に毎日2時間以上かけて試合に向かった。師弟対決という大きな財産を手に、城島はペナント制覇へと頭を切り換える。【松井周治】
全パコーチのソフトバンク王監督(城島が工藤から放った1発に)「あれ以外は何もやってないのにな。でも、真っ直ぐと分かっていて打てるのだから、大したもの」